農地が関係する物件における購入の注意点

2017/07/07

農地法 買いたい方

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今日のテーマは

「農地が関係する物件における購入の注意点」

という内容です。

昨今、農地をレンタルしたりして自らのプチ農園とい言うようなジャンルに挑戦する方々が増えており、その延長線上に農地を購入してみたいという方々も増えております。

ですが、農地の購入にはとても高いハードルが存在しています。
一般の方が農地を手に入れるって、かなり難しいのです。

本日は、このことについてお話していきます。

農地を含む物件を欲しいと探し始めて一番の壁というのが農地法と言えます。

結論から申し上げますと、
農地を農地のまま所有権を取得するには、一般の方では難しく農家などでなければ不可能と言えます。

では、ここから少し詳しくご説明いたします。

そもそも農地とは何なのか?
1、地目が田や畑のもの
2、現状が田や畑のもの、仮に地目が宅地や山林でも現状が田や畑なら農地と考える。
わかりやすく言うならば上記の2点です。

なぜ、農地を一般の方が取得できないのか?
国を挙げて農地確保と、耕作を確保するようにという考えがあるからです。

では、一般の方が農地を取得できないのか?

できない訳ではないのですが、条件がかなり厳しいです。
特に、市街化調整区域と未線引き地域においては特に難しい許可制なのです。

一般の方が農地取得のハードルとなっているのが農地法となっている訳です。

農地法には、3条、4条、5条と3つのパターンがあります。
細かな点は省略して説明します。

3条:農地又は採草放牧地を耕作の目的で所有権を移転する場合

4条:自らの農地を農地以外のものにする場合

5条:買った農地を宅地などとして利用する場合


農地を農地として利用したい(3条)という考えの場合には、農業委員会の許可が必要となります。※許可を受けないでした行為は無効となります。
実は、この3条許可が農家の人でない場合には、取れないという事になります。
所有権の移転には農家等の資格が必要になります。
地域によって多少考え方にも違いがあるようでが、不耕作目的、効率的に利用しない場合の権利取得の禁止していますので、本格的に農業をやるという方向性の方でなければ農地の所有権取得は難しいのです。
※現在(2017年7月)、法律の改正も検討されておりますが、まだ変更されていません。


4条は、自ら所有する農地を農地以外のものにする場合に行うものです。
そのため、今回の家探しには該当しません。


5条は、購入したお客様が家を建築する場合などに行うものです。
農地のままで利用したいという考えの場合は、該当しないということになります。
※市街化区域で5条に該当する場合は、届出となります。



そこで、売買を成立させるために、仮登記という手法を不動産業者が進めてくることになりますが、この仮登記という手法にも落とし穴があります。

一般の方が農地を取得したい場合に利用されるのは、

仮登記です。

実は仮登記と言うだけでは、所有権は移転していないです。
つまり将来のリスク回避にならない事実


不動産業者が進める「仮登記」という手法の落とし穴


まず、読んで字のごとく仮登記ですから、所有権の移転はされません。
イメージとしては、本登記するための予約をしているような状態と思って頂くとわかりやすいかもしれません。


不動産の売買においては通常、代金を支払い、所有権の移転を行いますが、ご希望の物件ですと、農地法が関係してくるので、3条の許可申請を出しても許可が下りないと判断される可能性がある方(農家ではない人など)の場合には所有権移転に必要な農地法の許可取得が難しいので、仮登記をしておくという処置なのです。


悪質な不動産業者であれば、仮登記があるから他に転売できないから大丈夫ですと言う営業マンもいるかもしれません。


ある意味、売主が転売しても仮登記の優先順位が1番目についていれば、2番目よりも優先されるのは事実ですが、先ほどお話しした、本登記するための予約をしているような状態(予約完結権)なので、この予約完結権という権利は債権なのです。


債権は、一般的に契約締結時から10年を経過すれば消滅時効にかかることになります。


仮登記そのものは消滅時効というものはないのですが、農地法の許可申請手続きに協力を求める請求権(予約している状態とイメージして下さい。)が債権として10年の消滅時効にかかるので、農地法の許可を受けることを前提とした移転登記請求権も消滅することになるという結果になってしまうのです。


それに伴い、仮登記に対する本登記請求権も消滅します。
仮登記の効力は10年となるのが農地取得において仮登記を利用する問題点なのです。


もちろん、予約完結権が時効消滅した場合でも、何もしなければ仮登記はそのまま残りますが、10年後にほったらかしにした結果、売主から予約完結権が時効消滅したので仮登記を抹消するように要請が来れば、買主(売買予約権者)は応じざるを得ないことになってしまうのです。


仮登記があるからと安心してしまうと、お金は払ったけども10年後に権利の主張ができなくなる恐れもあるという事です。


対策として時効の中断を行うべく、売主さんと書面にて取り交わしを行うなどの手法を使うこともできますが、実際には難しい内容だと考えられます。


農地の売買には、上記の説明のようなリスクが伴います。
農地を買ってみたい人は、仮登記のリスクも十分にご理解の上、物件探しを行う必要性がございます。


実際の問題として、農地のように利用したいけど、所有権も取得したいとなると、一般の宅地では見つかりにくいです。広さ的には別荘地などが該当する物件となってくると考えられます。


他には、山林などの物件を探すという考えで進むと良いかもしれません。
但し、現況や課税が農地となっている場合は農地法の適用になりますので、注意が必要!


農地の取得をしてみたいという考えのあなたさまの
ご参考になれば幸いです。


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