国は、インスペクションで中古不動産の売買が進むにように仕向けているが・・・

2016/06/22

インスペクション 最近の動き 不動産売買

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こんにちは

まだあなたは、インスペクションと言う言葉をご存じ無いかもしれないが、今の日本は、

インスペクションで、中古不動産の売買が進むにように大きな舵取りを始めています。

既存住宅インスペクションのガイドライン

しかし、不動産屋の立場から言わせていただくと、全くもって国の政策では中古物件の活性化の方向へ進むはずがない!と言いたい。

インスペクションってなんじゃ?ってことだけど、
簡単に言うと、第三者機関に中古住宅の検査を行っていただくもの。
審査する業者によっては一定の補修工事を行うと、物件に保証をつけますよって内容です。

インスペクションを活用し、中古住宅でも保証を付けて販売するという動きがあるのだが、保証はもちろん大事だけど、そこだけを取ってみても、新築は法的にも10年保証なわけだよね!

仮に中古で保証を付けても2年程度いや、5年付けたとしても
保証が付くから安心ですって、中古市場に目を向けましょう~ってだけでは活性化しないんです。

設備や、躯体の故障の確立を考えても、新築と中古ではどっちが安心か?

こんなのは子供でも考えりゃわかる話だよね。。。

新築住宅みたいに、中古住宅にも保証をつけりゃ売れんだろう~って、やっつけてきな考えでは無理です。


まぁ、文句ばかり言うのは簡単だけど、
これがあったら中古市場も活性化するだろうな~ってアイデアを・・・

1、住宅ローン金利の優遇(中古住宅の場合は新築住宅よりも安い金利を適用するなど)

実際の現場では、中古住宅では担保価値の問題などあり、銀行が融資に後ろ向きな姿勢なんです。

そもそも、中古住宅を検討している方の一部は世帯収入の都合などで中古市場を狙っているにも関わらず、物件担保価値や、銀行は個人属性を問題にし、融資に後ろ向きになるんですよね。ここが変わらなきゃ意味がない。

2、住宅ローン控除の拡大

これも、新耐震基準などの場合ではなく、全体の物件に対しての考えにして欲しい。
築年数に応じて細かく分けてもいいので、中古物件を選ぶメリットを明確に出すべきです。


3、登記費用の優遇

登記費用を新築と比べても極端なくらいに安い費用になるようにしなければ、中古市場の活性化にならない。


他にもいろいろアイデアはあるんだけどね、とりあえず3つ。
上記3つの内容は極端に感じるだろうけど、ここまで極端にやらなきゃ中古市場の活性化なんてできないと言う不動産屋の現場の意見です。

お客様は、新築と中古を比較した際に、中古住宅を買うメリットを感じなければ、動いてくれません。

当たり前です。

新築を購入できる方が、中古を選びたいと思うほどのメリットを出さなければ、中古市場が活性化するなんてことは起きないのですよ!ただ、一度活性化のスイッチが入れば、うまく軌道に乗る可能性がある。

インスペクションも大事だが、まずは中古物件の融資をどんどん行うように日銀や、金融庁が銀行に圧力をかけるべきだ!


先ほども申し上げたが、中古住宅に関してはとにかく銀行が後ろ向きな考えなんです。

そもそも、木造の場合だと対応年数が22年となるから金融機関の評価の基準としては22年経過した建物は評価が出ないという考えの基に物件担保価値の審査をするのだから、土地の評価分しか融資したくないわけです。

仮に建物が大手ハウスメーカーで建ててあり、メンテナンスも定期的に行って、まだまだ十分使えるとしても、その考えだから、借りたい金額まで融資を引けないという結果になる。または、借入年数が極端に短くなる!

新築では35年の融資が当たり前のこの時代に、築年数が経過した中古物件(木造)だと20年の融資を引くのもかなり厳しい答えになるのです。

物件価格の安い物件を買うお客様の世帯年数は、高い物件の場合と比較しても低い年収の場合が多いのは当たり前に想定できますよね、かつ世帯年数が低いわけだから自己資金率も低くなる、つまり頭金が少ないお客様の可能性が高くなるのです。

上記の内容からも、金融機関が大きく方針転換をしてくれない限り中古物件の市場は活性化などしないと思われます。

中古住宅の融資審査に出すと帰ってくる銀行の返事のパターンは。。。
(例)築20年、中古住宅(木造2階)、2500万円 購入者の世帯年収300万円

融資申込金額、物件価格2500万円プラス諸費用170万円=計2670万円
借入期間:30年

●銀行の回答パターン
融資2000万円、借入期間10年
なんて回答はよくあるパターンです。

築年数が古いから融資の期間を短くしたいと言う理由
担保評価が足りないという理由

結局、中古物件には貸したくないという事だ。
もちろん、これが中古マンションだと借入期間がもう少し長くなる場合もある。

上記のような回答が来ちゃうと、お客様は1000万円予算をあげても、フラット35を利用して新築住宅買うほうが自己資金も少なく、月の返済も低く抑えられるという結果になるんです。

20年前の中古物件は検査済みが無い物件が多い

昨今、金融機関も検査済みがない物件には融資をしないという方針になり、違法物件と言われる物件が減ってきたが、約20年前の物件などは検査済みが取得されていない物件が多数あり、検査済みの無い物件の一部では建築確認と全く違った建物が建築されているなどのケースが多々あるという現実。

一昔前までは、検査済みが取得されていない物件でも融資は行われていたのです。

ただ単に、費用節約のために検査済みが取得されていない場合もあるので、検査済みが無いイコール違法物件とは限りません。

インスペクションを活用して、建築確認と同じ建物が建築されていると分かれば、金融機関も安心して融資を前向きに考えられるというメリットもありますが、その逆もあるわけです。

ただ、違法性の高い物件には銀行は融資しない方針なのですから。

売りたくても借金が消せずに売れない現実

今の日本はデフレっていうのが少し問題なのです。
中古住宅の売主さんは個人が多いわけですが、デフレと言うのは、買った時よりも資産価値が下がってしまうのです、しかし借入金額はなかなか減っていない訳です。
残債を抹消するべく価格で売りに出すと、新築住宅の価格よりも割高な設定になる場合もあるのです。


インスペクションを受けたことによる指値交渉の基準となる

インスペクションは売主さんがやることに限定したものではありません。
買主さんが買主さんの費用をもって実施することもできます。(売主の許可がいる)

仮に買主さんの費用でインスペクションを実施して、多額のリフォームや補修工事が必要と判断された場合には、その費用分を指値交渉の材料にされる可能性も高く、売主さんが懸念する材料になるという考えもあります。

インスペクションの説明の提案義務付けでは拡大しない!

今回の法整備は、実施義務ではないのです。

不動産屋のほとんどはこう考えているだろう。。。
「提案はしますよ、でも、やるかやらないかは勝手ですから~」
というのが本音だと思う。

インスペクションを提案して、検査を行う業者をあっせんする場合、そのあっせん手数料は請求してはいけない(媒介業務の一部と考えられている)と言われている。
不動産業者は金にもならんのに手間かけてまでやらないでしょ~というのが本音だろう。

もちろん、買主さんはそれらの点検や保証が付いたほうが安心できるからという部分も理解できます。

売主さんの心理からすると、
インスペクション審査にもお金はかかる、そのうえ、保証付けるなら指摘個所の改修工事なども必要となれば売主さんは普通に考えても嫌がります。

売主さんからすれば、お金に変えたほうが良いと思う事情があるのだから売りに出しているのだから。
手放すものにお金をかけたいと普通思う人がいるだろうか?

買主さんからの希望でインスペクションを受けて、補修改善箇所が多数指摘され、その分の回収費用を指値されるとリスクをとる必要があるのかどうかなど。。。

買主さんと、売主さんの間の感情は正反対となってしまう。


長くなりました。
最後までお読み頂きありがとうございます。

まだまだ、問題がたくさん出てきそうなインスペクションですが、今後インスペクションはどうするのかを売主さん、買主さんへ説明する必要が不動産業者にはあります。

インスペクションなどの横文字のルール作りも大事かもしれないが、中古住宅の市場を活性化するには、銀行の融資をはじめとして、もっともっと足元にある問題を解決すべきだと私は思います。

今日は、ここまでです。
ありがとうございます。

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